S|延べ床:112㎡|地上1階|住宅|
風が流れる家
Zephyr House
郊外で子育て真っ只中の夫婦のために、「個」と「集い」をゆるやかに往来できる住まいを描きました。
ガラスの外皮に包まれたオープンスペースに、2.48㎡の坪庭をもつ7.45㎡のミニマルな「個の空間」を散りばめ、縁側や水盤が光と風を導きます。
外に開きながら、家族それぞれの時間にそっと寄り添う、ささやかな居場所の集合体です。






「個の空間」は断熱・防音・空調をしっかり備えたコクーン。屋上に隠した室外機や、視線は遮り風を通すブロックが、静けさと通風を両立します。キッチンもあえて個室化し、ガラスの外皮に囲まれたオープンスペースに不要なヒエラルキーを生まない構成に。冬は集熱パネルの熱を活かした床暖房が家全体をやわらかく温め、夏は水盤の気化熱と上昇気流、屋上緑化が涼やかな流れをつくります。家具の置き方次第で、スタディ、くつろぎ、ダイニングが滑らかに切り替わる自由度も魅力です。



外と内が「見え隠れ」する距離感が、日常の所作に奥行きを与えます。季節の風や光を受け止めながら、家族のリズムに寄り添って形を変える——この家は、暮らしそのものがやさしく循環する装置です。