計画の核は「一本の通り道」と「いくつもの居場所」。外部から内部へと続くシークエンスを丁寧に編み、風と視線が抜ける軸線上に閲覧・展示・交流の機能を緩やかに配置しました。構造は明快に、仕上げは長く使い込むほど風合いが増す素材で統一。庇やルーバー、植栽帯が季節の光を受け止め、室内には均質ではない豊かな明暗が生まれます。ユニバーサルデザインの観点から段差解消と手すり計画を徹底し、誘導サインは最小限の情報で直感的に読めるレイアウトとしました。設備計画は高効率な空調・照明に加え、自然換気や昼光利用を組み合わせ、運用時の負荷を抑えています。

 ここで育まれるのは、知と文化の“蓄積”だけではなく、人と人の“関係”です。年月とともに場が育ち、地域の誇りとして受け継がれていくことを願い、私たちは設計・監理の細部まで責任を持って取り組みました。これからも運用とともに成長する“開かれた建築”であり続けます。