織物の原理を建築の骨格へ
 縦糸と横糸の位相がずれて面をつくるように、壁・ガラス・ガラスブロックをパターン配置して領域をやわらかく分節。均質な採光を保ちながら、視線と動線を穏やかに導きます。
また、診察側は待合よりわずかに負圧に保ち、光庭・坪庭が空気の混合を抑制。季節に応じて自動開閉する高窓が自然換気を助け、空調負荷と感染リスクを低減します。

尾州の記憶を手ざわりに──地域とともに育つ場
 一宮の毛織物文化をインテリアや家具の手触りへと翻訳し、患者には安心感を、スタッフには直感的で効率的な動線を。可動ルーバーと低メンテナンスの中庭が日常の運用を支え、ここは“まちのリビング”として静かに根づいていきます。診療は生活へ、糸のように自然にほどけ、再びやさしく結び直されます。